卒業を迎えて

新潟県社会福祉協議会発行の「点字新潟」(平成4年3月号)に掲載されました。

「期待と不安」というよりは、ほとんど「不安」ばかりで始まった盲学校での生活でした。
「目を閉じて何も見えず、悲しくて目を開ければ、荒野に向かう道より他に見えるものはなし。」と心の中で「昴」を歌いながら登校したことが幾度となくありました。
中途失明という、人生においては誰もが遭遇したくないハンディを負った私が、「今さら何でまたこんなに勉強せにゃあかんのかいや!」と訳のわからぬ怒りにとらわれたことも幾度となくありました。
ただひたすらに卒業を待ち続けたそんな日々も、今はカウントダウンの段階となりました。
最後の最後でこけないために、あとひと頑張りですけど。
 発病後、大学病院、厚生訓練施設、そしてここ新潟盲学校と、さすらい流転放浪の旅を続けてきました。
卒業後は、生まれ育った故郷に帰ります。
いくつもの夢を削り、残された可能性と明日を信じて、なんとかここまでたどり着くことができました。
ふと振り返ると、そこには紛れもない自分自身の足跡を見つけることができました。
「私の前に道はない、私の後ろに道はできる。」という言葉が今は身に染みる思いです。
これから始まる生活も、また決して安易なものではないでしょう。
それでも、まずは第1歩を踏み出そうと思っています。
希望という言葉を胸に…。
我は行く、さらば新潟盲学校。


コメント:卒業式の模様は、テレビ新潟の「新潟一番」という番組で放送されました。
「シリーズ卒業」という特集の最終回でした。
都合、三日程の取材を受けました。
カメラを意識して、少し疲れました。